2008年10月29日水曜日

複雑ネットワークの科学

やっと読了。本書はいわゆるワッツ・ストロガッツのスモールワールド・ネットワーク、バラバシ・アルバートのスケールフリー・ネットワークをはじめとする複雑ネットワークの数理的な構造を解説した本です。これらのネットワークモデルの数理的な特徴を、次数分布、平均的頂点間距離、クラスタリング係数などネットワーク特性を示す数値について数学的に解説しています。ネットワークの特徴を表すこれらの数値の計算方法について、数学的なセンスでは、こんな風に考えて証明するのかという意味で感心するとともに、自身の数学的なセンスのなさに愕然とすることしきり。

ネットワークモデルを使った解析事例として、パーコレーション、コンタクト・プロセス、結合振動子などの話は紹介されていますが、著者が示す通り、ネットワークの中心性、分割、頂点次数相関、枝の方向性、スペクトル分析などのネットワークの性質や、ランダム/ウォーク、パケット伝達、さーと、経済ダイナミクスなどのネットワーク上の過程などは残念ながら取り上げられてはいません。

複雑ネットワークについての導入として、基本的な内容の解説とその先へ進むための各種リファレンスも数多く紹介されているので、個々からさきはオリジナル論文に当たる必要がありそうです。

複雑ネットワークの科学複雑ネットワークの科学
増田 直紀

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