「情報社会学」への道を誘うように、携帯親指族から始まり、無線インフラの普及とモバイルインターネット、ユビキタスコンピューティング、からMITのメディアラボ、ウェアラブルコンピューティング研究などのコンピューティングの潮流、初期のUNIXからLinuxやFSF活動をはじめとするオープンソースカルチャー、共有地の悲劇とコモンズ、囚人のジレンマから信頼モデルまで、実際にそれらの研究分野で活躍している著名な第一人者とのインタビューも数多く、広範囲で深い取材活動と資料分析は圧倒的ですらありました。著者は、世界初のWeb雑誌であるHot Wiredの初代編集長であったなど、IT業界やその動向に熟知しており、鋭い分析から、「スマートモブズ」という近い将来のインターネット社会の一面を切り出しています。日本語版の初版は2003年発行とすでに5年前となってしまいましたが、分析/ビジョンは今でも通用する物があるかと思います。(ちなみに、最新動向であればhttp://www.smartmobs.com/にてスマートモブズに関する記述が集約されているので、Watchしてみるのも良いかもしれません)
網羅的に関連する動向や学術領域を整理しているので、巻末の参考文献リストをふまえて、全体を見渡す際の手がかり・入門としても良い本だと思います。ここまであらゆる領域にわたって体系立てて知識として理解し、論旨を展開できる点はうらやましくも思います。こんな構成力を身につけたいですね。
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